特別養子縁組とこどもの戸籍

戸籍には、私たち一人ひとりの大切な情報が記されています。

特に特別養子縁組によって、家族となったこどもたちにとって、戸籍は自身のルーツを知る上で重要な意味を持つものです。

 

ミダス&ストークサポートにおける特別養子縁組の事例では、

家庭裁判所により特別養子縁組が成立するまでの間、育て親と児童は育て親の住民票にはいり、児童は同居人という続き柄で表記されます。

この時の児童の戸籍は、生みの親の戸籍に入っています。

家庭裁判所の審判が確定すると、育て親は特別養子縁組届を役所に提出することができます。この特別養子縁組届によって、児童の戸籍は育て親の戸籍に新しい戸籍として入ります。生みの親の戸籍からは除籍されます。このタイミングで、児童の名字も、育て親の名字に変更されます。

 

児童が育て親の戸籍に入った時の表記はどうなるのでしょうか。

続柄は長男や長女と記載されます。

身分事項には、民法817条の2と記載され、【民法817条の2による裁判確定日】【届出日】【届出人】の記載があります。

生みの親に関する情報は、【従前戸籍】として、以前の本籍が記入されます。

そのほかの生みの親に関する情報の記載はありません。

民法817条の2の項目はこのまま永年記載されます。児童が成長し、婚姻等で新しい戸籍となった場合も記載に変更はありません。

【図:特別養子縁組成立後の児童の戸籍表記のイメージ】

戸籍に記載されている者

【名】00

【生年月日】00年00月00日

【父】00

【母】00

【続柄】長男や長女など

身分事項——————-

出生

【出生日】00年00月00日

【出生地】00県00市

【届出日】00年00月00日

【届出人】母や父など

【送付を受けた日】00年00月00日

【受理者】00県00市長

民法817条の2

【民法817条の2による裁判確定日】00年00月00日

【届出日】00年00月00日

【届出人】父母

【従前戸籍】00県00市000番地

 

児童が除籍となった後の生みの親自身の戸籍の表記はどのようになるでしょうか。

例として、生みの親の戸籍には、児童の情報は記載したままで、横に【除籍】と記載される場合を示します。児童の身分事項には特別養子縁組という項目が記載されます。

 

【図:除籍後の生み親の戸籍表記のイメージ】こちらは例となりますので、同様にならない場合もございます。

戸籍に記録されている者

 

   【除   籍】

【名】000

【生年月日】00年00月00日

【父】000

【母】000

【続柄】長男や長女など

身分事項————-

出生

 

【出生日】00年00月00日

【出生地】00県00市

【届出日】00年00月00日

【届出人】000

【送付を受けた日】00年00月00日

【受理者】00県00市長

特別養子縁組

【特別養子縁組の裁判確定日】00年00月00日

【届出日】00年00月00日

【届出人】養父母

【送付を受けた日】00年00月00日

【受理者】00県00市長

【新本籍】00県00市000番地

特別養子縁組されたこどもたちが成長し、自分の戸籍と向き合う時、そこには様々な感情が湧き上がるかもしれません。

喜び、戸惑い、探求してみたいという思い・・・

どのような想いを抱くとしても、こどもの側に寄り添い、支えるために育て親ができることは何でしょうか?

 

それは、彼らの気持ちを聞いて、共に考え、共に歩む姿勢です。

戸籍が示す家族の形は一つではありません。

大切なのは、信頼で結ばれた絆です。

悩んだときは、私たちもいつでもお手伝いしていきます。

 

 

 

参考資料

戸籍の窓口~フローチャートでわかる届書の審査 山下 敦子 (著)

戸籍の窓口 II 養子縁組・特別養子縁組~フローチャートでわかる届書の審査  山下 敦子 (著)

戸籍の窓口V 入籍・転籍・分籍・国籍の得喪~フローチャートでわかる届書の審査~山下 敦子 (著)

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